木造軸組工法Wooden framework construction method

木造軸組工法とは

日本に古来から伝わる代表的な工法で、別名“在来工法”とも呼ばれます。コンクリートの基礎に固定した土台の上に、柱を垂直に建てて梁を水平に渡し、屋根を組む工法です。垂直方向の力には“柱”で、また水平方向の力には“梁”で抵抗する基本原理に加え、“筋かい”と呼ばれる斜材で補強し、さらに接合金具を使って耐震・耐風の強度を高めています。地震・台風・高温多湿・雪という日本の厳しい自然条件の中で、長い年月をかけて改良が施されてきた工法です。
この木造軸組工法には、古来からの荒壁(土塗壁)をつけた“湿式工法”と、外まわりの壁に断熱材を入れた“乾式工法”があります。現在は断熱材を用いた乾式工法が主流となっており、様々な素材の断熱材が流通しています。

こだわりをかたちにしやすい設計の自由度

軸組工法は、間取りの自由度や、狭小・変形敷地での対応力が高く、開口部も大きくとれる利点があります。お客様のこだわりやご要望に合わせた、自由設計の家づくりができます。木の味わいを存分に生かした外観デザインや住空間を描けるのが、この工法ならではの特長です。
また、増改築にも柔軟に対応することができ、時の流れと共に変化するご家族のライフスタイルに合わせて、間取り変更や改築ができるのも大きなメリットです。

“木”を使うメリット

鉄やコンクリートに勝る、重さに対する強さ

建築材料として“木”は千年以上も前から使われており、ほかの建築構造材料の歴史とは比較にならないほどの実績があります。一般に木の強度は、鉄やコンクリートに劣ると思われがちですが、それは誤りです。
建物の強さを比較するとき最も重要とされるのが、“重さに対する強さ”です。木・鉄・コンクリートを比較した場合、木のひっぱり強度は鉄の約4倍となり、圧縮の強度ではコンクリートの約6倍にもなります。
地震の際に建物が受ける振動エネルギーは建物の重さに比例するので、比重の小さい木材(比重0.3~0.8)は、鉄(同7.8)やコンクリート(同2.3)よりも強い素材といえるのです。

持続する耐久性

鉄やコンクリートなどの無機質素材は、製造された時点が最も強く、時間の経過とともに劣化し強さが衰えます。しかし木は、プレカット工場で“木材”になってからも強度が増し続け、200年~300年後に最も高い強度となり、1,000年後に元の強さに戻るという特性があります。
木は腐りやすいというイメージがありますが、水や湿気の配慮と適切なメンテナンスがあれば、十分な耐久性を保ち続けるのです。事実、京都や奈良には築100年以上たった木造建造物が数多く残っています。
100年単位という計り知れない時間のお話ですが、手の掛け方によって、末永く住まいの姿を保つことができるのも“木”ならではの特長です。

実は“火”に強い

木は火事に弱いというイメージがありますが、木材は表面が炭化すると内部までは燃えにくくなるので、鉄のように熱にさらされると急速に強度が低下することはありません。
鉄、アルミニウム、木材を同じ条件で加熱した場合、鉄とアルミニウムは3分~5分程度で強度が著しく低下して変形してしまいますが、木材は15分たっても約60%の強度を維持します。
過去アメリカで発生した同時多発テロにおいて、貿易センタービルが一瞬の内に崩れ落ちたシーンを記憶されている方も多いと思いますが、火災による熱が鉄の強度を落とし、上階の重さに耐えられなくなったのが原因とされています。
木が火に強い特性を持っていることも、古来から現代に伝わった大切な教えなのです。